2011年5月4日水曜日

沈まぬ太陽


山崎 豊子著 新潮文庫

ずいぶんと時間がかかってしまっているのですが、今まさに読んでいる本です。文庫本で5冊、しかも一冊が分厚いのでなかなか手を付けられずにいたのですが、一旦読み始めると面白くてやめられないのです。

山崎豊子さんの著書では、以前「不毛地帯」を読んだことがあり、また「白い巨塔」がテレビドラマになり、アメリカでも放映されていた時は欠かさず見ていました。

フィクションとはいえモデルがしっかりといること、そして莫大と思われる資料に裏づけされながら展開していく物語は、ドキュメンタリーを読んでいるかのようです。でも、登場人物の心の描写がとても繊細にされているのがやはり小説たるところなのかなとも思います。

1冊目、2冊目が「アフリカ篇」、主人公が僻地勤務を強いられ中東、アフリカを点々とする時期が描かれています。
3冊目が「御巣鷹山篇」、ジャンボ機の墜落事故が起こります。
4冊目、5冊目は「会長室篇」、主人公が日本に帰ってきてからのことが書かれています。

私は今4冊目をとてもゆっくりのペースで読んでいるのですが、
ちょうど震災が起こった頃、3冊目を読んでいました。

飛行機の事故と地震の被害を比べることは到底できないのですが、
事故処理を行っていくうえで政府や国民航空(日航がモデル)の思惑が錯綜し、
被害者の事を一番に思って現場で働く社員と
自分達の保身や会社や国の体裁を優先させるトップの人間達の対比が
今回の地震の対応にも重なるような気がして、
あぁ、日本っていう国は変わっていないんだな、という思いを強くしながら読みました。

白い巨塔のドラマが、執筆されてから約40年たってからドラマ化されてももあれだけ人気が出て、またあれだけ新鮮に感じられたというのは、
山崎豊子さんの先見の明というのももちろんあると思うのですが、
日本という国が「膿を出し切れない」体質を持っているのかな・・・と思わざるを得ません。

主人公の恩地元にはやっぱり「ニッポンジンスピリット」を感じています。
今回の震災で「我慢」という言葉が脚光を浴びました。
日本人は、我慢することができる、と。
1~3冊目まで、恩地の人生は我慢の人生です。
読んでいても「何で転職しないのかな」と何度も思わされます。
でも、自分がやめるとがっかりする人がいる、と恩地はやめません。
アメリカにはほぼありえない感覚だと思います。
どちらがいい、というのではないのですが
今、「日本人」を見直す時期にあってこの本を読めているのはとてもよかったなと思っています。

おすすめです!

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